アイデアを盗むと言うことの危険性

まだ現実になっていないことのアイデアを他人から盗むことの恐ろしさは、そのアイデアが形になっていないことに起因する。
形になっていないアイデアというのはつまり、未来のことである。
そういう、他人の考える未来を盗むと言うことは、それが必ず実を結ぶとは限らないことを意味する。
そのアイデアを最初に思いついた人は、アイデアと共に必ず未来を思い描いている。だから、アイデアだけを奪ったところで、その最初の人の思い描いた未来が必ず来るとは限らない。

例えば、僕にはとあるアイデアがある。たぶん、今はまだ現実になっていないアイデアだ。
それを考えると、僕の頭の中では未来予想図が妄想される。

さて、そのアイデアを君が盗んだとしよう。うまくカネになる方法を見つけ、君は成功する。
その結果訪れた未来は、果たして君にとって良い未来か?
僕が思い描いた未来と同じか?
君はそのアイデアの有用性を知りながら、変質する世界を持て余すことになるのではないだろうか?
それはそうだろう。僕が思い描いた世界と、君が作り上げた世界が同一であるわけがないのだから。

イデアを盗む時は、必ずその世界観と一緒に盗まねばならない。でなければ、アイデアは世界に馴染まず、持て余すことになり、破綻する。
世界観とは哲学である。アイデアを公表する際には、哲学を学んでから公表することをお勧めする。
そうすればまるでアイデアが公開鍵、哲学が秘密鍵となるように、アイデアだけ取られたところでその世界観は漏れることはない。