何故事務処理に終われるのか?

人員に対して案件量が多い。
予算に対して案件量が多い。
一つの案件の額の振れ幅は、40万から2000万くらいまであり、一人当たり毎月4~5案件は常に抱えている状態。
案件の受注処理、検収処理も毎月ある。
定型的な処理といえども、いわばハンコ押印ワークフローなので時間がかかる。

一つの案件の受注処理に2~3日の調整事項、事務処理が発生するとする。
一つの案件の検収処理に1~2日とする。

同じ月に受注1件、検収1件があるとする。
それだけで3~5日の事務処理が発生する。
間接業務である。

また、各案件の進捗確認、Todo確認、案件半ばでの調整事項が各案件に付随する。そうした付随工数を1案件につき8時間/日としよう。
4~5案件抱えている状況だと、3日~5日ほど時間が取られる。

上記状況だと、間接業務だけで6日~10日が割かれている。
営業日が月20日間だとすると、実に30%~50%である。

残り50%~70%を全て実務に費やせるか?
否。まず、システムの問い合わせ運用業務や、他システムの突発的な打ち合わせなど、非定型業務が存在する。
概ね平均、月30時間ほどとしよう。残りの時間が18%ほど削られた。

また、社内の業務も存在する。月10時間。9%削られた。

これで残りは13%~47%になった。

驚くべきことに、案件責任者は基本的に仕様詰め、設計、テストなども行わねばならない。
つまり案件の実業務とも言えるものだが、上記の通りの状況で時間を捻出しなきゃならない。

リリースするものに対しては、当然さらなる調整事項が増える。

エトセトラエトセトラ。

かくして、日本のSierには、身になることをする時間がほとんど与えられない。Q.E.D

残業を減らすと言うのは実のところ現実的ではなく、金に関する仕事が多い以上、どうにかするべきは案件の多さ、つまり大量の仕事を如何に捌くか、という視点に興味が沸いて当然である。

単純な発想として、いくつもの小案件を束ねて、大きな案件とし、管理する案件を減らしてはどうか?

これは案件を回す側にとっては良いアイデアだが、意味のある予算の使い方と言う面から見れば難しい。

本来20案件のものを束ねて1案件とする。
金を支払う側は、例えば2億円の用途が数多ある「諸改善」というものになり、一度に2億円の決済をするための役員への説得でまず失敗する可能性が高いだろう。

また、案件に対する成果物も明確ではないため、検収条件も一捻り二捻りも必要である。

いずれにせよ、タンマをかけれる状況があるわけではなく、全てがスピーディーに進んでいるこの世の中で、自分が何を出来るか考えると、どうしようもなく途方に暮れてしまうのである。