ペーパーレスに隠された功罪

先日、ペーパーレスを進めた結果、今まで紙で印刷して配布していたことがタブレットによる電子表示になり、見事に紙の使用量が減ったという話を聞いた。

なるほど、とても良いニュースだ。紙の使用量を削減することにより、紙の購入代金が減り、経費削減により利益率が向上するだろう。

一方、タブレットがあるにも関わらず、作業者の不注意で現場の電源を落としてしまい、タブレットによる電子表示がないために不便を被ったという話を聞いた。

ところで、タブレットの運用には必ず充電、というか電気が必要になる。

僕はそのことを聞いてハッとした。

全世界的にペーパーレス化が進み、見事に伐採される木々が少なくなり、紙生産による環境破壊は食い止めれたとする。
ペーパーレス化の代替は、電子表示。それには電気が伴う。
結果、全世界的に電気需要が増大し、発電所は逼迫し、より多くの電気が供給出来るように、例えば火力発電であればより多くの化石燃料が消費されるだろう。

このことは、「世界のリソースを削減する」と目的を達成出来ているだろうか?

合成の誤謬という言葉が脳裏を過る。
一見正しいと思えることを皆が一斉にやることで、間違った結果が生まれる。

僕たちが考える合理性は、果たして正義か?

これからの「正義」の話をしよう (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

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